アラビアン・ナイトを題材にした映画は数多く存在すします。
有名なところでは、名作『バグダッドの盗賊』(1940年イギリス)や『船乗りシンドバッドの冒険』(1946年アメリカ)、そのものずはりの『アラビアン・ナイト』(1942年アメリカ)、その続編とも言える『アリババと四十人の盗賊』(1944年アメリカ)などがある。また、ヨーロッパや旧ソ連でも同類の映画が作られています。
アラビアン・ナイトの映画化はもう目新しいことでは無く、これまでの作品と大差ないものと思われていたのかもしれません。

この企画に興味を示したのはやはり、というべきかチャールズ・H・シニアでした。ハリーハウゼンが『猿人ジョー・ヤング』(1949)の頃から描きためていた8枚のスケッチを見て圧倒されたチャールズ・H・シニアは次の作品として『シンドバッド』を製作することを決心、すぐに製作が決定します。
『シンドバッド七回目の航海』は確かにアラビアン・ナイトを題材にした映画ですが、それまでの映画とは一線を画す斬新な作品となり、それ以降の特撮映画に多大な影響を与える事になったのです。

実写とアニメーションを合成する技術の名称として『ダイナメーション』という言葉が初めて使われたのがこの作品。『ダイナミック』と『アニメーション』を合わせた宣伝用の造語で、現在では実写とストップモーションの合成の総称として使われていますが、本来はハリーハウゼンが手がけていなければダイナメーションとは言わないという事です。

私はラビアン・ナイトは子供の頃から大好きで、千夜一夜物語などの本はよく読んだものですが、ハリーハウゼの『シンドバッド』シリーズはほとんどアラビアン・ナイトを意識する事なく見ていました。アラビアン・ナイトから設定だけを借りたファンタジー映画といったところでしょうか。

オープニングはアラビアン・ナイト的な世界見のイラストにタイトル文字。この時点で映画に対する期待感が高まる。個人的にはかなりツボ。

チャンドラ王国のパリサ姫と婚約したシンドバッドは帰りの航海中に嵐に遭遇。船は方角を見失ってしまう。だが、そんな嵐にもかかわらすシンドバッドは見張りよりも早くに島を発見する。
「左舷に陸だ」
船員たちは、船長が示す方向を目を凝らして見るが、
「俺には見えない。まるでフクロウだ。」
最初のシーンでシンドバッドがただ者ではない事がわかる。

この船上での嵐のシーンは最後に撮影されたそうで、カーウィン・マシューズはこの撮影の時には病気になり寝込んでいたのですが、高熱をおして撮影に参加。舵の所で体を固定して撮影に挑んだという。背中の後ろ側に柱でもあるのか?

撮影で使用された船は、コロンブスが大西洋横断に成功した事で有名なサンタマリア号。バルセロナにあったアトラクション用のレプリカを使用して撮影されたのだが、シンドバッドの船に見えなかったため、なるべく船の外観が映らないように役者を中心としたショットで撮影されています。

食料と水を求めて島へ上陸すると、浜辺に巨大な足跡を発見。たどって行くと、その先には巨大な古代文明の遺跡があった。怖じ気づく船員たちにかまわず遺跡を調べに行こうとするシンドバッド。すると遺跡の入り口から猛獣が吼えるような音が聞こえ、眉毛のとんがったハゲ頭が「助けてくれー」と叫びながら走り出てくる。シンドバッドたちがあっけにとられて見ていると、

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